多文化が交錯する食料品店
ナショナル麻布

名物スーパーのブランドリフレッシュ
- ブランド戦略
- グラフィックデザイン
- ビジュアルアイデンティティ
ナショナル麻布は、1962年創業のスーパーマーケット。東京に住む海外企業の駐在員たちにとって、祖国の定番商品がいつでも手に入る貴重な場所です。ケロッグの朝食用シリアル、リースのチョコレートやピーナツバターカップ、エイミーズキッチンのパイなど、日本では入手が難しい商品を常備。デリカテッセンやチーズの品揃えにも定評があります。多くの日本人にとっては、欧米のライフスタイルが手軽に体験できるお店としても愛されてきました。
そんなおなじみのスーパーが、中島董商店の傘下でブランドの刷新に乗り出しました。中島董商店は、輸入食品やワインの販売をはじめ、IT事業やアセット事業も展開しています。消費者、店員、関連会社などの幅広いステークホルダーを念頭に、ナショナル麻布の進化を印象付けるのがEatの役割です。新しいストーリーとアイデンティティを打ち出し、広尾界隈を代表する上質なお買い物スポットとしてのポジショニングをあらためて定義します。

プロジェクトは、まず包括的なリサーチから始まりました。多様な購買層がナショナル麻布にどんなイメージを持っているのか、顧客体験が競合他社とどう異なっているのかを分析し、その個性を伝えるストーリーやアイデンティティについて考察します。買い物客の動向とニーズを探り、日本人客と外国人客の異なる期待も吟味。検討項目を5種類に分け、ナショナル麻布の長期的目標をすべて満たす重要方針を明らかにしました。
調査による洞察から、新しいブランドのポジショニングと哲学が浮かび上がります。異国で暮らす外国人たちにとっては、懐かしくて安心できる心の故郷。そんな従来のポジショニングを維持した上で、社会的責任を果たしながら文化の架け橋となり、地域に具体的な好影響を与える持続可能なスーパーマーケットとしての意欲も表現しなければなりません。

ブランド刷新のプロセスでは、ワークショップを開催しながら様々なステークホルダーの視点も交えたブランドストーリーを構築。関係者が一致団結し、ブランドを進化させようという機運が着実に高まります。ナショナル麻布の新しいルック&フィールを創り上げる際には、クリエイティブの狙いを全員に理解してもらう必要がありました。
新しいナショナル麻布のロゴは、モダンでありながら人間らしい温かみを表現しています。鮮やかなイエローとグリーンを基調とし、ブランドの伝統であるホスピタリティとワクワクするようなショッピング体験が想起されます。サステナブルかつインクルーシブに、多様なお客様を迎えようというブランドの志も伝わってきます。

コンセプトの展開例
新しいビジュアルアイデンティティは、ポスター、看板、ショッピングバッグなどの幅広いコミュニケーションで展開されます。さまざまなタッチポイントに応用したデザイン例も提示しました。このようなブランドの打ち出し方を包括的なガイドラインにまとめ、ナショナル麻布の担当者がブランドの魅力を長期的に推進できるアセットも制作。新しいブランドの方向性をわかりやすく説明し、ブランド価値の一貫性を担保しました。

生まれ変わったナショナル麻布は、東京のさまざまな人々にワクワクするようなショッピング体験を提供しています。
中島董商店の事例には、ニュージーランドのワイナリー「フォリウム」のビジュアルアイデンティティ開発もありますので併せてご覧ください。
