ブランド差別化を浸透させる鍵
CROSS HOTEL
個性的なホテル3館を統合する再ブランディング
- ブランド戦略
- ビジュアルアイデンティティ
- 社内コミュニケーション
- 映像
日本各地に施設を展開しているORIX HOTELS & RESORTSが、傘下ブランドの「CROSS HOTEL」を再ブランディング。所在地もスタイルも異なる3館が、新たなコンセプトのもとに統合されました。
このCROSS HOTELブランドには15年以上の歴史と文化があり、日本国内のホテル業界でも早期に立ち上げられたライフスタイルブランドのひとつ。Eat Creativeがサポートした「CROSS Life」ブランドの創設以前から、地域とのつながりを意識したコンセプトで運営されてきました。
今回の再ブランディングは、あらためてCROSS HOTELブランドの旗印を立てなおすこと。札幌、京都、大阪にあるCROSS HOTEL施設は、3館それぞれの歴史と個性を受け継いでいます。互いの交流も少なく、ブランドへの共通認識も希薄になっていました。
私たちのミッションは、あらためてライフスタイルブランドとしてのCROSS HOTELについて方向性を明確にし、3館のホテルを適切にポジショニングしなおすこと。歴史ある館内の設備や環境は変えず、新設ホテルに負けない新しさを提示する必要もありました。
再ブランディングの出発点は、細やかな現状の把握です。経営陣や各ホテルの支配人とミーティングを重ね、札幌、京都、大阪に足を運んで各チームリーダーから数日間に及ぶ徹底した聞き取りを実施しました。このプロセスによって、CROSS HOTELの強みと課題が明らかになってきます。
ORIX HOTELS & RESORTSのポートフォリオでは、アッパーミッドスケールに位置づけられるCROSS HOTELの3館。ソーシャルメディアや自社媒体で新しいブランド価値を発信するには、さまざまな基盤が必要です。ブランドのコンセプトやイメージの刷新と同様に大切なのは、サービスを提供する各ホテル内部での共通理解を深めること。お客さまに提供できるライフスタイルブランドとしての価値を定義し、それを継続的に提供できる仕組みづくりにも注力しました。新たなブランドの約束としてEat Creativeが提案したコンセプトは「NEW DISCOVERIES, NEW CONNECTIONS」。ワクワクや心地よさを体現するビジュアルアイデンティティを再構築し、キービジュアル、コミュニケーションツール、ブランドムービーなどに展開しました。
特にビジュアルで打ち出したのは、印象的な「クロスライン」のイメージ。一見ランダムに交差するラインで多彩なイメージを折り重ね、時代やジェンダーに左右されない自由な人々の交差点を表現しました。そこから生成されていく「面」には、クロスホテルが目指す「ポジティブな裏切り」や「新しい発見」につながる心地よい時間が映し出されています。
ブランディングを実際のオペレーションで活かすには、現場の深い理解も欠かせません。再ブランディングのプロセスには完成がなく、持続的な浸透の努力が重要になります。そこでEat Creativeは、3館合同のワークショップを開催。全施設の代表者たちが、ひとつのブランドとして一体感を持てるように理解と交流を深めました。
ブランドの方向性が明確になれば、スタッフの誇りとモチベーションも向上して個々の潜在力を引き出せます。構想から実装に至る再ブランディングのプロセスは、ワークショップ後のアンケートでも高評価をいただきました。