フードバンクの20年
毎年10月16日は、国連が定めた世界食糧デー。日本でも「みんなで食べる幸せを」をテーマに、さまざまなイベントが開催される月間です。
今から22年前、私たちはこの食糧問題に正面から取り組む人々と出会いました。Eat Creativeが企画発行していたフードカルチャーマガジン『Eat』第3号(2001年)の記事では、「路上生活者の食の問題を考え、支援者同士のネットワークづくりを目指すフードバンク」という見出しで日本初のフードバンク活動が紹介されています。
この活動を土台として、2002年に設立された団体がセカンドハーベスト・ジャパン。今まで20年以上にわたって、まだ充分食べられるにも関わらずさまざまな理由で活用されない食品を食の支援が必要な人々に届けてきました。しかし残念ながら、貧困問題はまだ改善されていません。2019年の調査によると、日本の子供たちの13.5%(7.3人に1人)が満足な食事を得られない貧困状態です。この切実な現状は、国内でもあまり知られていません。
セカンドハーベスト・ジャパンが設立された頃は、フードバンクという言葉すら聞いたことがない人が大半でした。食品企業の製造工程で発生する規格外品や、品質に問題のない廃棄予定の食品を引き取り、福祉施設などへ無償で提供するのがフードバンクの活動。初年度に食品を寄付してくれた企業は2社でした。
静かに始まったフードバンクの活動も、問題意識を持った人々が手を取りあうことで徐々に広がりを見せていきます。取り組みに賛同した個人が、食品関連企業の内部から手を挙げてくれるようになりました。一社員の立場で、会社の上司や同僚たちを説得するにはどうしたらいいのか。そんなノウハウを共有するための意見交換会やシンポジウムが継続的に開催されました。
Eat Creativeがシンポジウムに関わり始めた2015年には、支援実績のある企業からさまざまな事例と体験談が紹介されるようになっていました。最初は2社だった食品提供企業(団体)も、その頃には700社を超える規模に。フードバンクへの理解はさらに深まり、貧困と戦う支援の輪が全国に広がりました。フードバンクに食品を寄付する企業(団体)の数は、2,473社にのぼります(2022年時点)。
セカンドハーベスト・ジャパンの活動も多様化してきました。寄贈された食品でお弁当を作って配布したり、個人世帯用の緊急食糧支援を担ったり。フ―ドセーフティネットの構築に向けて、独自の政策提言や調査活動なども続けています。
Eat Creativeは、セカンドハーベスト・ジャパンの活動を20年以上にわたって見守ってきました。フードカルチャーマガジン『Eat』第3号(2001年)では、前身団体のフードバンクを日英バイリンガルで紹介して1ページの無料広告を掲載。小さな組織の窓口は、ホームレス経験もあるチャールズ・E・マクジルトンさんと社会活動家の湯浅誠さんでした。また2015年からは、毎年10月にセカンドハーベスト・ジャパンが開催するシンポジウムの運営を支援しています。
今年の「フードバンク・シンポジウム」は、10月18日に国立オリンピック記念青少年センタ―で開催されました。また10月28日に開催される「フードセーフティネット・シンポジウム」(日本語のみ)もオンラインで参加者を募集中です。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
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