自動車業界の変化を牽引する

シャーリン・エデ氏 ダイムラー・トラック・アジア
製品・広報・グローバルマーケティング部門部長

2023. 03. 23

ロバート・コステロ / 事業成長責任者

「Eat Take-Away」シリーズでは、各国で活躍するブランドリーダーやマーケティングリーダーにインタビューを行い、今後のビジョンや課題などについて伺います。1日の流れから、近年急激な変化を遂げているブランド体験と顧客体験の分野における経験談、アドバイスなど、盛り沢山の内容でお届けします。記事の最後では、インタビューから得た3つの重要な学びをリストアップ。お見逃しなく。

Vol. 2では、Eat Creativeの事業成長責任者、ロバート・コステロが、自動車業界の雄、ダイムラー・トラック・アジアで製品・広報・グローバルマーケティング部門部長を務めるシャーリン・エデ氏にインタビューを行いました。

(インタビューは一部内容を編集しています。)

ロバート・コステロ:1日の流れを教えていただけますか。

シャーリーン・エデダイムラートラックアジアは、2つの傘下企業の運営を中心に行っています。1つが日本に本社を置く三菱ふそうトラック・バス。同社の中核はFUSOブランド170以上の国々同ブランドのトラックやバスを販売しています。そしてインドのチェンナイバーラトベンツ製造・販売を行っているダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズです。

私達のネットワークは各国に広がっておりポートランドのアメリカチームとの通話からはじまり、その後に日本チーム、午後は中国チームとインドチームそして最後はヨーロッパチームのコミュニケーション、という流れになることが多いです

ふそうブランドに関して多様ブランド要素を網羅したブランドガイドラインを定めており、ケニアタンザニア、マレーシア、インドネシアをはじめとする各国のチームから、コミュニケーションを作成する際ガイドラインをどのように適用すればいか質問多く受けています。ガイドラインの内容各国市場のオーディエンスに適しているか、柔軟活用可能かどうか、目を配っています

RC2023年、楽しみにしていることや、注目しているテーマはなんですか。

CE今後楽しみにしているプロジェクトのひとつが量産EVトラックeCanter新たなモデルの。これは、型商用車の電動の普及に向けて重要なステップなります。ダイムラートラックアジアにとって非常に大きなプロジェクトというだけでなく日本電動モビリティ分野一変する製品になると考えています。


インドでは創業10周年を迎え2022年はとくに実りの多いとなりました一方、中国では国内製造・国内販売EV大型トラックeActrosを発売しましたこのほか、アメリカでいくつか楽しロジェクトが進んでいます。

RC日本EV市場はどのように変化しているのでしょうか。

CE日本、それまで小さく変化していた物事が、突然急激な進化を遂げるような傾向見られます。最近では全国にハイブリッド車が普及していますが15年前は全く見かけませんでした。プリウス数多くのモデルチェンジを経ていますが一気に普及したのは34代目のモデルになってかですそれまでのモデルとの違い、デザインとアクセシビリティです。「自分ライフスタイルに合うメリットが多い」と、人びとが気づたのです。同様のことが、小型トラック分野でも起こることを願っています。

日本、それまで小さく変化していた物事が、突然急激な進化を遂げるような傾向見られます。最近では全国にハイブリッド車が普及していますが15年前は全く見かけませんでした。プリウス数多くのモデルチェンジを経ていますが一気に普及したのは34代目のモデルになってかです

RC2023とこれからの未来自動車業界にとって、重要になるテーマについて伺えますか。

CE:「ConnectivityIoT化)」「Autonomous(自動運転)」「Servitisation / Shared(シェアリング)」「Electrification(電動化)」の頭文字を取ったCASE」ということばが、近年注目を集めていますこれらは総じて、商用車乗用車を問わず、自動車業界が注視しているテーマです。CASEについて語られるようになってから5年ほど経っていますが、毎年、4つの内異なるテーマに焦点が当たっています

例えば、Uber台頭した時はServitisation / Shared(シェアリング)」焦点が当たりました。車を買う必要はない、シェアすればいい」というたな主張です。次に注目が集まったのが自動運動。そして今年は、電動化がトレンドになっています。一方2024日本運送業ドライバーの時間外労働の上限が新たに設けられる予定です。その際はConnectivityIoT化)」「Autonomous(自動運転)が重要なテーマになるでしょう。

2024日本運送業ドライバーの時間外労働の上限が新たに設けられる予定です。その際はConnectivityIoT化)」「Autonomous(自動運転)が重要なテーマになるでしょう。

RC持続可能な社会の実現に向けて、自動車業界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

CE商用車分野に関していえば顧客は個人ではなく企業で、企業の最優先事項は利益を上げることです一方、乗用車分野違います。顧客は個人で、エコロジーに関心を持っており持続可能な社会に貢献可能なら一定の支出厭わないケースが多く見られます

企業顧客にとってより重要なのは、長期的に見て、ビジネス面でのメリットを得られるかどうか企業顧客に持続可能な社会の実現に目を向けていただために、商用車の製造企業して取り組まなければいけないのは、経済な利点が得られる品を開発ことこの点でダイムラー・トラック・アジア多くの成果を上げており2023年はとくに、eCanterの需要が高まることを願っています

企業顧客にとっては、長期的に見てビジネス面でのメリットを得られるかが重要です。

日本は、川崎と中津製作所で使用する電源を100再生可能エネルギーでまかなっており、今後、各国の製作所で同様の取り組みを行っていく予定です例えば、チェンナイ商用車製作所で見渡す限り太陽光パネルが並んでいますダイムラー・トラック・アジアでは製品のみに留まらず、製造プロセスおよびサプライチェーンのすべての段階を通じて、持続可能な取り組みを行っています

ダイムラー・トラック・アジアでは製品のみに留まらず、製造プロセスおよびサプライチェーンのすべての段階を通じて、持続可能な取り組みを行っています

RCブランディングの観点から見て、ダイムラー・トラック・アジアを競合ブランドと差別化している要素はでしょうか。

CE歴史実績、そしてグローバル化ブランディングの中核となっています。私達は長い歴史を持っていFUSOランドは90年の歴史を誇りダイムラーラックを発明したことで知られていますFUSOブランドやダイムラートラックの製品数多く国々親しまれており、それが顧客の信頼安心につながっています。

FUSOランドは90年の歴史を誇りダイムラーラックを発明したことで知られていますそれだけでなく、FUSOブランドやダイムラートラックの製品数多く国々親しまれており、それが顧客の信頼安心につながっています。

とくに電気自動車に関して一部の顧客ってなじみがないだけでなくきな投資となるため、なかなか導入に踏み出しにくいケースが見られますそのため、電気自動車に移行する際は、最初の導入フェーズけでなく、その後のライフサイクルに渡って信頼の置けるブランドが求められています

RC2023年、何を達成すれば成功と言えるでしょうか。

CE:個人的なゴールとしては、私達の製品を目にした時、「電気自動車だ」と言うのではなく、「eCanterだ」と言っていただけるようになることです。ティッシュではなくクリネックス「掃除機」ではなくフーバーと言われるように。

個人的なゴールとしては、私達の製品を目にした時、「電気自動車だ」と言うのではなく、「eCanterだ」と言っていただけるようになることです。ティッシュではなくクリネックス「掃除機」ではなくフーバーと言われるように。

企業ブランドとして、ダイムラー・トラック・アジアをより多くの方に知っていただけるとうれしいです「ダイムラー・トラック・アジアで働きたい」「ダイムラー・トラック・アジア一員であることを誇りに思、そんな風っていだけるようになりたいですね。人材を巡る競争は、これまで以上に激しくなっています。リモートワークが浸透たことで、半径5km圏内の企業だけでなく国を跨いでより多くの企業と競争しなければなりません

ダイムラー・トラック・アジアは、その長い歴史やグローバルなネットワークといった強みを持っているだけでなく、国籍に関係なく、すべての人がキャリアを築くチャンスをつかめる企業です。多様な人びとが働いており、ほんとうにグローバルな企業といえます。多くの企業がダイバーシティについて言及しているのを目にしますが、実際に浸透しているケースは多くないですから

Eat Take-Away

  1. 柔軟かつ一貫したブランディンググローバルなブランド価値確立する上で新たな市場に参入するブランド一貫して発信すること非常に重要です。そのために各国チームに向けて明確なガイドライン定めることが不可欠一方でそれぞれのチームが自国の文化や慣習応じたコミュニケーションを行えるよう必要以上にルールで縛らないことが求められます。ロゴ遣い画像のスタイル、トーンオブボイスなど、常に同一でなければならに要素を定めつつ各国ームが創造的な表現を行える「余白」を残すこと、ブランドの正しい管理と発展につながります。

  2. ブランドの理念に沿った的確な雇用戦略国や業界を問わず、ノベーションを創出し、競争力を強化すべく多くの企業が優秀な才能を巡って競争しています。ターゲットとる人びとに響くようなブランドのビジョンや価値観、従業員エクスペリエンスそしてこれら未来の社員にどこでどのようにアプローチするかが、成功の鍵といえますそのためには、顧客エクスペリエンス同じレベルで、従業員エクスペリエンスを重視しなければなりません

  3. 信頼を通じた変化創出顧客と深い信頼関係を築けているランドは、顧客の行動変化を起こすことが可能ですれらのブランドは、明確なビジョンの下理想現実のギャップをめるという重要な役割をになっています。ガソリン車から電気自動車への移行自然に優しい製品の普及などがその一例です人びとが信頼置くブランドは、今日そして明日の社会に貢献する行動を起こす責任を負っているだけでなく大きなチャンス得ているのです

Eat Creativeはダイムラー・トラック・アジアのパートナーエージェンシーとして、EVトラック「eCanter」の発表やブランディング、社内コミュニケーションや従業員エクスペリエンスを支援しています。プロジェクトの詳細については、こちらからご覧ください。