それぞれの龍

2024. 01. 15

Eatチーム

かわいらしいウサギに別れを告げ、猛々しいドラゴンの年がスタートしました。中国の龍は水に棲み、天空を駆けながら嵐を呼ぶ霊獣。十二支でも特に縁起が良いとされる辰年は、そんな龍の神通力にあやかった幸運と豊穣が期待されます。

東洋の龍と西洋のドラゴンは、ともに長い歴史があります。世界史を紐解くと、紀元前2千年紀の古代メソポタミアではすでに竜のような恐ろしい生物が描写されていました。また13世紀のインカ神話に登場するアマルは、翼を持った蛇のような賢者。おなじみ『千と千尋の神隠し』の白龍(ハク)は、清らかな川の権化です。

想像上の存在だからこそ、多彩な解釈で空想をかきたててくれる龍。多文化なEat Creativeのメンバーたちが、それぞれのドラゴンについて語ってくれました。

藤岡華奈子(プロジェクトコーディネーター )

竜は無限の想像を掻き立てる存在です。塔の中でお姫様を匿い、洞窟の財宝を守る勇猛な守護者。どんな飛行機よりも速く空を飛び、決して仲間を裏切りません。でも恐竜みたいに腕が短いので、ちょっと不便じゃないのかなと気になったり......。

カイル・アーメット(アートディレクター)

ドラゴンといえば、何といってもドラゴンボールZ。あの世界観に憧れて日本語を学び始め、やがて日本に来て勉強したり仕事したりするきっかけになりました。だから僕の心に火をつけてくれた神龍(シェンロン)とドラゴンボールの制作チームには心から感謝しています。

スージー・クリーブル(プロジェクトコーディネーター )

大人気の『ハリー・ポッター』シリーズを読み耽ったり、家族と連れ立って春節のパレードに出かけたり、ポケモンのゲームでドラゴンみたいな生き物を捕まえたり。竜といえば、そんな幼少時代の思い出がよみがえります。新しい2024年に、Est Creativeでどんな龍の思い出が作れるのか楽しみです。

陶山智恵美(シニアデザイナー)

アン・マキャフリイの「パーンの竜騎士」シリーズ(ハヤカワ文庫)に出会ったのは小学校高学年の頃。パーン星を脅かす胞子生物と戦うため、人間が竜とパートナーを組む物語です。竜が孵化するときに竜騎士を選び、両者には一生の絆が生まれます。私も竜騎士になって、竜とこんな関係になりたいと夢見ていました(でも戦いは苦手)。決然としたヒロインの生き方に圧倒されて以来、竜はいつも強さと優しさの象徴。だから私にとって竜といえば「まんが日本昔ばなし」の龍ではなく、西洋風に翼の生えた竜なのです。

ロバート・コステロ(事業成長責任者)

中国に何年か住んでいたとき、龍に対する畏敬の念を学びました。自分が辰年生まれであることもわかって、誇らしい気持ちになったものです。西洋の文学や大衆文化で描かれる恐ろしいドラゴンとは異なり、日本の龍もポジティブなイメージなのでちょっと得をした気分になります。そして2024年の干支は甲辰(木龍)。力強い春の息吹や成長を象徴する年にワクワクしています。

中條あや子(代表取締役社長)

動物園でも野生でもお目にかかれない龍ですが、神社仏閣ではよく見かけます。神社の手水舎で口から水を吐き出している龍。京都相国寺の天井画から、拍手を返してくれる鳴き龍。児童書『エルマーのぼうけん』や、ポケモンのキャラクターも子供たちにおなじみです。中国皇帝の権威を象徴する龍や、ウエールズの国旗に描かれた赤いドラゴンも。実在しないわりには、いろんな龍がいるものですね。良い年になりますように。

ウェイジン・ジュー(ストラテジスト)

中国生まれの私にとって、龍は開運のシンボルにして神聖な存在。イラスト、切り絵、絵画などに、よく縁起物として描かれていました。でもその後『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』で出会った西洋のドラゴンには、生々しい恐ろしさがありました。だから中国の龍は平面のビジュアルで思い出すのに、西洋のドラゴンはいつも立体的なイメージ。文化の垣根を越えると、こんな認知の違いまで生まれるのが面白いですね。

スティーブ・マーティン(エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)とクレア(娘)

悪さもするけど、時には人を助けてくれる竜。変わらないのは、いつも強いこと。お正月には余った紙(クリスマスの包装紙など)で、竜のフィギュアを作ってみました。新しい2024年は、もっと力強く成長できますように。そして世界がもっとサステナブルでありますように。

アリスン・ジャンベール(エグゼクティブ・コミュニケーション・ディレクター)

「竜が登場しない冒険など、語る価値がない」とはJ・R・R・トールキンの言葉。いちばん古い記憶の中の竜は、『ホビットの冒険』に登場する強大なスマウグです。竜が恐ろしかったから憶えているのではなく、幸せな読書の思い出として刻まれています。英国に生まれながら人生の半分以上をアジアで過ごした私にとって、竜は強さ、勇気、威厳、知恵の象徴。辰年の2024年が、私たち全員に幸運と豊穣をもたらしてくれますように。