日本進出のイロハ

ジェシカ・ティッシュ氏
フレッシュ・フルーツ・カンパニー・オブ・ニュージーランド

2023. 05. 15

ロバート・コステロ / 事業成長責任者

「Eat Take-Away」シリーズでは、各国で活躍するブランドリーダーやマーケティングリーダーにインタビューを行い、今後のビジョンや課題などについて伺います。1日の流れから、近年急激な変化を遂げているブランド体験と顧客体験の分野における経験談、アドバイスなど、盛り沢山の内容でお届けします。記事の最後では、インタビューから得た3つの重要な学びをリストアップ。お見逃しなく。

Vol. 4では、Eat Creativeの事業成長責任者、ロバート・コステロがフレッシュ・フルーツ・カンパニー・オブ・ニュージーランド(Freshco)の日本カントリーマネージャーを務めるジェシカ・ティッシュ氏と対談しました。

(インタビューは一部内容を編集しています。)

ロバートコステロ:まずは、フレッシュ・フルーツ・カンパニー・オブ・ニュージーランドFreshcoについて、少し教えていただけますか。

ジェシカ・ティッシュFreshco1989創業で、主にカボチャリンゴ、チェリー3種類販売しており、それぞれ幅広いブランドを取り揃えています。実は、ニュージーランド産のカボチャの80日本に残りの20韓国に輸出されています。日本へのカボチャの輸出を始めたのは30年前に遡り多くのお客様と長年に渡るを築ています初めはカボチャのみでしたが、後にリンゴの輸出も開始し、以降は多くのお客様に両方をお買い上げいただいています

日本への輸出に関してニュージーランド南半球に位置している真逆の季節に旬の食品を届けられることが強みなっています達のビジョンは、産品と争することが目的ではなく、一年を通して、日本のお客様が新鮮な食品常に食卓に並べられるようにすることですそのためより新鮮での高い食品をお客様にお届けできるよう、テクノロジーやイノベーションの進化に取り組んでいます。

ニュージーランド南半球に位置している真逆の季節に旬の食品を届けられることが強みなっています達のビジョンは、一年を通して、日本のお客様が新鮮な食品常に食卓に並べられるようにすることです

RCこれまでの経験踏まえて、日本の顧客ニュージーランドのブランドに対してどのような印象を持っていると思いますか

JT緑豊かな自然やグビー、広々とした空間、フレンドリーな人柄など、一般的に見て、ニュージーランドにポジティブ印象を持っていが多いように感じます実際に行われた調査結果を見ると、これは正しい認識と言えると思いますニュージーランド産の飲食品に関して安全でが高いという信頼が見られます。一方でニュージーランドが最先端のテクノロジーたなイノベーションを創出していることはほとんど知られていません飲食品については、すでに多くの企業が参入しているのでその足跡を辿ることができますがこうした新分野にはより高いハードルが待っています

RC:日本に新たなランドを入する重視していることは何ですか

JT:輸出よく直面する課題のひとつとして、日本の流通者やお客様品の外観やパッケージに高い基準を求めていることが挙げられます自国では問題にならないような些細な欠陥でも、日本では受けれられませんこうした理由から、日本への輸出を実現することができれば、その経験を活かして、ほかどの国にも進出する準備ができていると言ます

日本への輸出を実現することができれば、その経験を活かして、ほかどの国にも進出する準備ができていると言ます

このほかにはローカライゼーション重要なります自国で成功を収めた品が、ほかでも通用すると思い込まないこと。日本のお客様のい物の仕方は、ほかの国とはなります。ニュージーランドでは、多くの人が車でーパーマーケットを訪れ買い込んだ大量の商品をトランクみ込みます。買い出しに出かけるのは1くらいでしょうか一方、日本ではお客様が買い物する際や自転車を利用することが多く巨大な洗剤買って帰るような光景は見られません

それだけでなく、パッケージの形なります。日本の家庭の収納スペースはニュージーランド比べて遥かに小さいので、品も小さくる傾向が見られます。こうした違いを理解し、日本で求められる要素判断するためにはが必要ですまた、日本では、多くのプロセスが慎重に進められます信頼強化販売する品と価格の合意、プロモーション活など、ほかの国と比べてをかけて行われケースが多いです

RC最近のグローバル傾向は、日本で展開しているニュージーランド発のブランドどのようなを与えているのでしょうか

JTとくに影響を及ぼしているのがインフレです。日本の小売店のバイヤーの多くは、これまでインフレの影響に直面したことがなかったはず30年の間、価格変動していなかったので、値上げを行うの非常にむずかしい状況と言えますここ数年、ニュージーランドでは人件費や原価が上昇しており、同じ価格で輸出するのは、コストと見合わなくなっています。上昇したストを賄うために価格を上げなければならないのですが、小売にとっては受け入れがたいそのため製造業者は小売価格を上げるのではなく製品のサイズを小さくするなど、ほかやり方を見つけなければなりません

賃金が上がっていないことも製品を値上げしづらい理由のひとつですお客製品を必需品と感じていなければ、すぐに離れていってしまいますこのほかに、ここ数年、輸出の多くが直面しているのが配送に関する問題です配送が遅れると、製品が届くのは国産品が出回る期になってしまいますそのためには、スケジュール通りにが届くよう、徹底しなければなりません

また、今年2月にニュージーランドを襲った大型台風「ガブリエル」は、Freshcoのビジネスや産に大きな被害を及ぼしました。とくに、リンゴカボチャが被害を受けています。

RCこうした課題を踏まえて、Freshcoでの今後の役割、事の展望やブランドの展開について伺えますか

JTキウイフルーツが成功を収めたように、ニュージーランドの生鮮食品が、日本のお客様より広く知られるように取り組んでいます。例えば、Freshcoリンゴは日本の国産品とは全く異なります。小ぶりでく、歯ごたえを感じられので、おやつ食べるをおすすめしています。日本ではリンゴはスライスしに家族で食べることが多いようですが、Freshco果物はヘルシーなおやつにです皮の部分にとくに多いので、皮ごと食べていただくよう呼びかけています。

このほかには界の成を支える持続可能な取り組みに注力しています。ニュージーランドの農林産業は非常に活発で、より効率的な生産方法を見つけるため、継続的投資を行っています。こうした新たなテクノロジーやベストプラクティスを日本に導入することで、イノベーションを起こせると思っています

ニュージーランドの農林産業は、より効率的な生産方法を見つけるため、継続的投資を行っています。こうした新たなテクノロジーやベストプラクティスを日本に導入することで、イノベーションを起こせると思っています

例えば、日本の一般的なリンゴでは高齢者がリンゴの木に登って、すべて面に日光が当たるよう、リンゴの実の向きを変えています。労働問題や高齢化がむ日本では、食料を国内生産だけで賄うことが今後よりむずかしくなるでしょうこうした日本の農林産業にまつわる課題の解決に向けて、お手伝いできるはずです

RC:2023、何を達成すれば成功と言えるでょうか

JT:初年度は顧客の皆様への理解を深め小売店の方々の協力の下、お客様直接お話することで、知識を得ることが重要だと感じています大型台風の影で厳しい年になると思いますが、日本のお客様品を届けて次のシーズンを楽しみにしていただける年にしたいですね。

Eat Take-Away

  1. ローカライゼーションが不可欠日本で成功を収めた海外ブランドは例外なくコンセプトから製品、体験、コミュニケーションに至るまで、日本の顧客の求める基準に応えるため多くの時間を費やしています事前に入念な調査を行い、ターゲットとなる人びとへの理解を深め関係を築くために最も効果的な方法を見つけ出すことが不可欠です

  2. 特定のとの関係を強調するのは諸刃の剣マーケティングやコミュニケーションを行う際は、ターゲットとなる人びとがブランドの原産国をどのように識しているか考すること重要です。ターゲットとなる人びとがその国のことを知らないのならば逆にブランドの浸透や成功を妨げるかもしれません進出先人びと識をよく理解した上で、原産国との関係どの程度強調するか判断することが必要です

  3. 成功の鍵はステークホルダーの意思を統一すること送り出すサービスや品によっては、数のステークホルダーが存在することも珍しくないでしょう。すべてのステークホルダーとの関係を慎重に管理し、ブランドの成功に向けて、全員が同じ方向を向いていることをすることが求められますサプライヤー、輸入パートナー、流通者、小売者など、それぞれのステークホルダーブランドやビジネス、功について相反する解を持っているかもしれません。ブランドビジョンを統一するため、多くの間を費やすことが重要です